宇宙人と仏教

 12月16日付の「ニューヨークタイムズ」が、米国の国防総省(ペンタゴン)が、2007年から5年間、2200万ドル(約25億円)の予算を投入してUFOの目撃情報の調査を秘密裡におこなっていたと報じ、ここ二、三日、日本のメディアでも話題になっています。
 それによると、このプロジェクトは真剣なもので、2012年に予算は打ち切られたものの、調査自体はその後もつづけられているとか。
 まあ、わたしのようなUFO好きの人間にとっては、
「ああ、またか」
 という感じのネタなのですが、ただ、トランプ大統領にはその誕生のころからUFO関連のニュースがつきまとっていました。

 トランプ大統領の当選が確定したのは去年の11月でしたが、それから一カ月後、12月8日の夜「テレビ東京」でオンエアされた『ミステリー&㊙スゴ技/見た事もない4時間SP』は、トランプ当選の「背景」について出色の分析報道をおこなっていました。
 ご覧になった方もいるかもしれませんが、そのキャッチコピーというのが、
「トランプと宇宙人が手を組んだ!? ヒラリー落選に隠された秘密」
 という思わず身をのりだしたくなる煽りです。
 で、肝心の内容はどうかといえば、要するに、
「ヒラリーさんは宇宙人に嫌われたので負けた」
 ということでした。

 で、なぜ嫌われたのかというと、結局、
「エリア51のたたり」
 だそうです。
 米空軍が宇宙人と手を組んで秘密兵器を開発中というかねてウワサの基地ですが、ヒラリーさんは大胆にも、
「私が大統領になったら、UFOとエリア51の情報をすべて公開する」
 と全国遊説中に約束した。これが「宇宙人サイド」の不興を買ったのだとか。
 
 いや、「エリア51産業」の相変わらずのご繁盛ぶり、まことにご同慶の至りですが、番組を見ていてふと、以前友人から、
「宇宙人がもし襲来したら仏教徒はどうするの?」
 と聞かれたことを思い出しました。
 べつにどうもしません。
 宇宙人も「空」ですから。
 むろん地球人も「空」。 
 仏教的には、「宇宙人vs地球人の戦争」自体が「幻魔大戦」になる。
 あとは自己責任です。
 宇宙人と戦うも自由、戦わないも自由。
 一切の指示をあたえない。
 その徹底した自由ぶりは「すごい!」と同時に「こわい!」ものでもある。
 そう、すべては自分の責任になりますから。
 
 仏教はこの「空」にもとづく徹底した自由の境地を、昔から、
「遊戯(ゆげ)の境地」
 と呼び、仏教の達人のみが達し得る境地として尊んできました。
 この「遊戯」には、文字通り蝶のように舞い飛ぶ、
「自由自在の境地」
 の意味がこめられています。
 まあ、われわれ凡人には一生かかってもたどりつけそうのない境地ではありますけどね。

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